「愛している」と迷わず言えてる
今この時は 夢か現か幻か
君のグラスの氷が溶けてく
「清く正しい」世界との境目みたいにね
ぼくら何処から何処へ
向かうのか 進むのか それともただ流れてくのか
「愛している」と言えば済むのか
君の涙を止めるのは この乾いた空気だけ
ぼくらいつでも違う
夢見てた 祈ってた それぞれ別の神様に
おまえに触れる指先が
まだ汚れている
河川敷
土手の並木
駆けこんだ
この木陰
陽はまだ高く
雲は流れない
この愛おしさは
おれたち二人に
行く先が
無いからだろう
けれどそれは
言わないでいよう
おまえの気持ちが
判るわけじゃなし
おまえに触れる指先は
もう震えちゃいない
押し黙り
見つめ合うだけで
済んだ時は
遥か彼方へ
川の流れに
のって消えてゆく
演劇部長
南校舎の片隅で
繰り広げられるシェイクスピア
部長の君が作り上げた、
三位一体の世界
おれたちといえばいつも
なにかと毒づいてた
二言目には言ったものさ
「お嬢様にはわからねえ」
計算高く策略深く
君は涙を流した
おれたちは走っていた
ただひたすらに走った
荒野に響く
魔女の囁き
「生きるも死ぬも彼女次第。
だから今すぐ見つめろ。
一途な気持ちで見つめるんだ。」
おれは彼女の手に触れた
細く白く透き通ってた
どこまでも冷たかった
氷のように冷たかった
南校舎の片隅で
咲き乱れてるローズマリー
シェイクスピアの昔から
咲いてたよなローズマリー
燃えろスタジアム
ここをしのげば
打線は下位だったんだが
ダサいフライがトロい外野の
間に落ちたところで
ベンチのタコが
一歩二歩三歩と
おれに近づく
寄るな散れ
おれに指示を出すな
寄るな散れ
ここでジタバタするな
これはおれの問題だ
燃えろスタジアム
うるさい味方を
蹴散らせば打席で
知らない小僧が
土を掘ってる
十年早いぞ
おれを怒らせたな
胸元めがけて
危ない球だ
寄るな引け
踏み込むと死ぬぞ
腰を引け
打ち気は命取りだ
ここは生きるか死ぬかだ
燃えろスタジアム
馬鹿のランデブー
置いてきたわダサい時計は
何の役にも立たない
赤いネオンの街に
さあ繰り出そう
酒はうまいか
気は確かか
何をしようか
キスをしようか
夜は更けてく
あんた馬鹿みたい目つきが
そこがまた素敵よ
誰もいない二人きりね
なんてああ楽しい
捨ててきてよ弱い心は
いざという時立たない
暗い場末の店で
さあ管まこう
気は確かか
何をしようか
キスをしようか
も一度しようか
夜明けは近い
あんた馬鹿みたい全てが
そこがまたイカすわ
誰もいない二人きりね
なんてああ楽しい
あんた馬鹿みたい目つきが
そこがまた素敵よ
誰もいない二人きりね
なんてああ楽しい
なんてああ楽しい
なんてああ楽しい
やけくそタコ社長
ある日ふとあたしは思った
無駄な努力は一切合切やめようってね
でもまあそんなことは
おいそれと言いはしないんだよね
そんな軽挙妄動は慎まなきゃならないのさ
立場上
だってわしゃ君 これでも社長なんだよね
実は薄々気づいていたのさ
お得意さんがわしを切ろうとしてるってね
そりゃまあ値引きでもすれば
なんとか切り抜けられなくはない
すると飲むため打つため養育費をけずらにゃならん
「あんたは鬼ですか?」
つべこべ言わない 社長はこのわしなんだぞ
今日で20年働き続けた
明日から5年休ませてくれ
でなきゃ給料5倍ね
それはそうとそこの肌も露わな君、そう君、君
どうかねわしと付き合わんかね え?やだって
なんじゃそりゃ
わしゃ君これでも一応社長なんだよね
いつも労働者はつらい
そして経営者はむごい
わしは経営者だがつらい
私残酷ですわよ
幼いときには
夕日見て泣いた
それから
夜空の
星に祈ったの
※
あれは何かの間違いね
あたしじゃないわ
何も知らないあなたには
すごい夢を見させたげる
淡い恋も
ゆれる時も
もう感じない
人の心
踏みにじるの
とても気持ちいい
私残酷ですわよ
私残酷ですわよ
※
※くりかえす
私残酷ですわよ
美女と課長
これくらいは罪じゃないの
なんでもないことだわ
細かいのね気が利くのね
うるさいのね疲れるわ
塵ひとつない
空気清浄機の効いた部屋で
あなたの口がとても臭う
その真剣さは
押し付けがましい
鬱陶しいから
逃げよう 逃げよう
どれくらいで気が済むのよ
ご苦労なことだわ
話し好きね同じことね
うるさいのね疲れるわ
雲ひとつない
空気清浄機も効かぬ空のしたで
あなたが訓示たれる
この堅苦しさ
時代錯誤ね
鬱陶しいから
逃げよう 逃げよう 逃げよう
マダムれいこに気をつけろ
口数が少ないので
ボロが出ないだけです
僕はあなたにはとても
似つかわしくない男です
その誘い方
巧妙ですね
あなたが恐いのです
美しすぎるから
「あなたはちがう何かがあるわ
わたしはわかる」
「おいでなさい全てを捨て
この胸のなかいますぐ」
マダムれいこにゃ気をつけろ
魂を抜かれるぞ
彼女の愛は厳しすぎるぞ
場数を踏んでないので
かしこまってるだけです
やはりあなたにはとても
太刀打ちできぬ男です
その崩れ方
絶妙ですね
あなたはずるいのです
見透かしているから
「あなたはいいのなにも言わずに
自分の全てさらけ出して
全てを捨て、この胸のなか切なく」
マダムれいこにゃ気をつけろ
魂がさまようぞ
彼女の手管は悪魔みたいだ
マダムれいこにゃ気をつけろ
魂を抜かれるぞ
彼女の愛は厳しすぎるぞ
これは恋だから
さあゆきましょう
手に手をとって
二人、心通わなくても
通っても
あなたの姿かたちが
そこに見えればいいのです
あなたの嘘に傷つけられても
わたしの嘘を気づかれても
これは恋だから仕方ない
これは恋だから
抱き合いましょう
瞳をとじて
愛の言葉ささやいたり
叫んだり
あなたを想う気持ちで
今日が過ぎればいいのです
あなたの嘘に終わりがなくても
わたしの嘘が届かなくても
これは恋だから仕方ない
これは恋だから
会いたいのに閉じこもり
抱きたいのに背を向ける
お互い素直さだけじゃ
前に進めない
あなたの嘘に傷つけられても
わたしの嘘を気づかれても
これは恋だから仕方ない
これは恋だから
これは恋だから
浮雲のように
もう涙も枯れ果てたなんて
おまえは実にさわやかな顔で言う
かけがえのなさが
耐え切れぬ苦しみを
時にはもたらすものさ
取り戻すべき自分の姿なんて
端からありはしなかったんだから
朽ち果ててゆく身体でさえも
なさけなくなる言葉ですらも
ありのまますべてを
見届けようどこまでも
互いに消えられないなら
「痛いほどの想い」なら
消えないと思ってた
ありふれた暮らしでも
かまわなかったのに
移ろう月日は誰にも
止められない
もう誰でも彼でもないものに
なってしまおうあの雲のように
この世界と溶け合ってしまおう
あそこを流れる川のように