全力リラックス!辻タダオ
おぐまゆきとのユニット「中前適時打」メンバー辻タダオのブログ。生年1964、生れ高松、育ち三多摩、元々の「本籍」は那覇、多摩市在住町田市勤務。中学吹奏楽部 町田市立忠生中学校 ・高校吹奏楽部 都立町田高校 ・大学ビックバンド 立教大学NSH 職歴 パチンコホール業界 →ブルーベリー農家。大阪近鉄からの東北楽天ファン。中前適時打は2016年4月結成。作詞作曲、key&vo 漫画原作等を手掛ける。心の師谷岡ヤスジ。無党派。表現規制反対派。ピアノはコードブック派我流。断煙断酒断パチ継続中。
前線じゃなくて後方にいた人達

第3位
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ということで、
井上陽水と同様
私も1945年前後あたり
つまり戦争前後の出来事に
触れた書籍を読んだり、
映画見たりするのを好む性質の者なのだが
この映画は戦争を直接的には描いてない。
あくまで「男女関係」が主体であって、
戦争は「背景」である。
「背景」ではあるけど、
戦争があったから
こその
「物語」でもある、と。

という意味においては
「戦争映画」って
後方にいた人達を描いたものも
含めていいんじゃないか
とか思ったりもする。

この映画は
大雑把に言えば
「ダラダラ続く
だらしない男女関係」
を描いているんだけど
そこに一言加えて
「ダラダラ続く
戦争で死ななかった
だらしない男女関係」
ってすると
ちょっと趣が増す気がする。

戦争に関しては
「立場」によって
見方が全然変わってくるのは
当然のこととして
無党派層としては
戦争とかそうゆう面倒なことはやめろ
くらいな
そうゆう大雑把なことしか言えない。

この大雑把さってものは
「戦争絶対反対」の人からも
「場合により戦争厭わず」の人からも
うとまれるんだろうなあ
と思う。

でこの映画なんだけど
特にイデオロギー的視点みたいなものは
何ももってない男女が主人公なので
面白いのだ。

意図的に
「後方の楽な仕事」を選択した
農務官僚とその女性部下
という設定。

この
「意図的に後方にいた人
いけた人」
のことってのは
昨今の
各種コンテンツ類では
あまり描かれてない。

単純な話
「ヒーロー」
「ヒロイン」
として
人々の「共感」を得にくい
ということだろうし、
当事者だった人達からすれば
「あまり掘り返して欲しくない話題」
だろうし。
国民性として
どう考えても「苦労話」を好む
ってのも皆重々承知だろうし。

思うに
戦前
あるいは
戦時に
「強力に戦争を推し進める」派

「何が何でも和平」派

少数派であって
大多数の人達は
戦時体制に自分を適応させていったのだろう。

とはいえ、
戦争になったのは国民の責任!
と言い立てるつもりもない。
当時そこにいなかったし。

私は「表現の自由」を最大限に
重んじる立場なので
「軍神」を好意的に描写する映画があってもいいし、
ゾルゲや戦時共産党を好意的に描写する映画が
あってもいいと思う。
どっちかがよくてどっちかがダメ
とかなればそれこそ「憲法違反」だろう。

ま、なにはともあれ
「友情努力勝利」要素皆無なうえに
戦争をのらくら生き延びて
ダラダラ続く男女関係ってゆう
冷静に考えると
「共感ポイント」マイナス100くらいな
題材で
今なら企画すら絶対に通らない
と確信するんだけど
それでも超絶面白く感じる
という
そのへんの
「人情の機微」ってのを
知る意味でも
この映画も含め
50年代までのいわゆる
日本映画黄金期の作品は
見ておいて損はないでしょう。

「後方」で
適当に生き延びた人、
とか
人達、を描いた作品が意外にたくさんあるので。

ちなみに
辻タダオオリジナル曲で
中前適時打のレパートリーでもある
「浮雲のように」の
「浮雲」は
この映画由来です。
もちろん。
ぶっちゃけ北野作品全部は見てません。
「第2位」

なので、
そんな段階で
ああだこうだ言うのも
どうかと思ってたんですけど、
そんなに自分を縛ることもないかな、
ってことで、
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これなわけです。
自分の記憶が正しければ
「封切り直後」に映画館で見た
北野作品は
デビュー作の「その男凶暴につき」と
この作品のみで、
「ソナチネ」とか「HANA-BI」も
tsutayaのDVDとかスカパーだったかなあ・・
初見は・・
なので音楽の「久石ワールド」を映画館で
体感してないんですね。

自分はバリバリ文系学部にいたので、
文化芸術はやっぱ
「生」の「モノホン」を
「現場」で見よう
的な教育は
多少なりとも受けたんで、
野球ならスタジアムに
映画であれば映画館に
落語なら寄席に
とか
できるだけやってました。
で、卒業して働き始めてからは
なかなかそうはいかなくなってきて、
「とりあえず野球だけは現場で」
みたいな感じになって、
学生の頃は
「年間3ケタ」は余裕だった
「映画館で映画を見る行為」

「2年に1回」
くらいになってたわけです。
ましかし、
それはそれ
なので
そのことを悔やむとか
そうゆう気持ちもサラサラありませんけどね。
ははは。

TSUTAYAのDVDで色々見た印象ですと、
やはり「ソナチネ」と「HANA-BI」が
北野映画の極致なのかな
って個人的には思います。
冷静に考えると。

で、この映画を「封切り」で見た時、
間違いなく
上映2回連続

つまりは
同じものを2度
4時間くらい
その同じ劇場のなかで
過ごしました。

当時は
それが可能でしたからね。

で、いま日本映画専門チャンネルで
「北野武劇場」定期的にやってるんですけど、
劇場では見ていないけど
DVDや同じスカパーで
見たことはある
「ソナチネ」

「HANA-BI」

「菊次郎の夏」
とか
最初何気なく見始めるんですけど、
滅茶苦茶引き込まれますね。

欧米の映画の巨匠である、
ジョンフォード
とか
アルフレッドヒッチコック
とか
たくさんいらっしゃいますけど、
同じ映画

違う年齢になって
再度見ると
全然ちがったものに感じる
ってゆうのは
凄く重要な事実だと思います。

そういう意味では
「世界の北野」
って掛け値なしの
キャッチフレーズ
だと
私は個人的に思います。


最も衝撃を受けた映画
第1位
天使のはらわた 赤い眩暈 デラックス版 [DVD]

なんか、
ブランキージェットシティーの浅井さんが
言うところの
「おれの血はそいつで出来てる」
ってゆう、
その「おれの血」を作った部分が非常に大きい映画っす。

血気さかんな10代20代に
フラフラと悪所にでかけることが
わたしにもあったんですけど、
というか、
もう絶対に「悪所」には行かない、
とか宣言するつもりもないんですけど、
とにかく、
新宿界隈の各種ポルノ専門映画館には
けっこう行ってました。
もちろん純粋な「映画鑑賞」の為に、ね。
昭和館地下とか、
そうゆうやつ。

で、「天使のはらわた」シリーズには
その都度、
「重い気持ち」にさせられつつも、
その逆に微妙な解放感みたいなのもあって、
なんというのか、
「リアリティーのある表現」
ってゆうのは、こうゆうことなんじゃないか?
って思っていたところに
原作者がついにメガホンをとる!!
みたいな、この作品を、
べつにこの作品目当てではなく、
「いつもの映画館通い」で出会ったあのときは、
いまでも鮮明に覚えてるのですが、
あまりの衝撃に下半身の自由が利かない感じになりました。

で、「オールナイト興行」のローテーションの、
「2度目の上映」もきっちり見た記憶があります。

当時昭和最終盤だったんですけど、
いまでは考えられない
「無法地帯」でした。
オールナイト興行の日活ロマンポルノ上映館は。

映画そっちのけで
イチャツキだす
それも中高年カップルはいるわ、
客席内で煙草を吸うやつはいるわ、
お約束のようにイカ臭さが充満しているわ、
しかもそのイカ臭さの発生原因となっている物質によって、
滑りそうになるわ、
で、まったくもって
「映画鑑賞どころではない」と。

そうゆう状況ですから、
そこにいる自分も
「映画鑑賞」をしにきているのか
なんなのか、
そもそもおれは一体なんなんだ?
って話になるわけですが、
とにかくそうゆう
周囲のわけのわからなさが一切見えなくなる機会が
けっこう多かったのも事実で、
それを考えると「日活ロマンポルノ」ってほんとうに凄かった、と思います。

で、この赤い眩暈なんですけど、
何にリアリティーを感じたかと言うと、
「会話」が聞き取れないんですよ。

周りで、
ところかまわずヘビーな行為をしている、
中高年カップルが発生させる音声とかで。

映画の中の「会話」が。

演じてるのは竹中さんと桂木さんなんですけど、
「ささやくような会話」の時は
ほんと聞き取れなかったです。

で、竹中さんが自分を恥じて叫ぶ場面、
とかも一部あるんですけど、
それ以外は
ほとんど全てが「ささやき」に近いんですよ、
「会話」場面が。

なんか
「人の言っていることをものすごく真面目に聞いてみよう」
ってゆう気運がこれほど高まったことは
自分の人生においていまだかつてあっただろうか?
と、
それくらいの気持ちになったのでした。

「村木と名美」
ですよ。
なにはともあれ。

トリスタンとイゾルデ
とか
サムソンとデリラ
とか
ペレアスとメリザンド
とか
ロメオとジュリエット
とか
いろいろありますけども、
我々現代日本人においては
とにもかくにも
村木と名美
が「最重要カップル」だと思います。
今後100年くらい。